「消える職業」とか「なくなる仕事」について最近よくネットで見かけます。DTPオペレーターはどうだろうか? というテーマで記事を書きます。
個人的には、当分なくならないだろうと思います。
以前はなくなると思っていた
少し古い話になりますが、グラフィックデザイン周辺のことで言えば、DTP化が進んで、写植屋・版下屋さんというのは、全滅したのかどうかはわかりませんが、多くは消滅したかに思います。
でも、写植や版下のように、「デザインされたものをキレイに仕上げる」という仕事は、形を変え、生き続けています。元写植屋や版下屋だった会社は、「出力センター」「DTPの会社」として生き残っています。
わたしは、DTP化が進む中でグラフィックデザイナーになりました。その当時、デザインの先生に言われて印象に残っていることがあります。それは「デザイナーはなくならないけどDTPオペレーターはなくなるだろう」というものでした。
そういうわけで、DTPオペレーターを目指すより、デザイナーの方が良いと考えました。私がデザイナーを志した当時、デザイナーはDTPが使えない、Macが使えないという人が結構いました。だから、DTPオペレーターの需要はありました。
でも、デザイナーの殆どの人がDTPを自分でやれるようになるにつれて、DTPオペレーターという仕事は消滅していくだろうというのが、当時の個人的な展望でした。
DTPオペレーターは当分なくならないだろう
でも、それ以来デザイン業界で仕事を続けてきて思うのは、DTPオペレーターという仕事は当分なくならないだろうということです。
わたしはフリーになって、デザインの仕事とDTPオペレーターの仕事の両方をやっています。「グラフィックデザイナー」と「DTPオペレーター」の仕事は、よく似ている部分もありますが、基本的にちがいます。
これに関しては以前、記事にも書きました。(その記事はコチラ>>>デザイナーとDTPオペレーターの違いについて)一番の違いは、デザイナーはフォーマットを作るのが仕事だけど、DTPオペレーターは、すでにフォーマットがある仕事を仕上げていくのだということです。
デザイナーはフォーマットをつくって、自分で仕上げることもできますが、DTPオペレーターは、自分でフォーマットを作ることは、基本的にはできません。
中にはDTPオペレーターだけどフォーマットを作れるという人もいます。しないだけだったりも。わたしもオペレーターとして受けた仕事は、デザインに関しては手を出さないようにしています。
でも、デザイナーは一応、「できるハズ」なのですが、やはり「できない」「苦手」という人がたくさんいるのです。
特に書籍のようなページ数が多いものでそれを感じます。例えば書籍のようなものだと、デザイナーは本文のフォーマットを作る場合、「1章分だけ」というのが多いです。
でも、書籍というのは、10章とか20章とか、似たようなパターンでくりかえし、何百ページもの量になっていきます。かなり似たような、ある意味たいくつなルーティンワークの繰り返しです。
しかも、イラストや写真などは全く登場しないケースもあります。文字ばかりの大量のページのDTPを展開していくのは、ある意味「とても退屈」なのです。
デザイナーは、この「とても退屈な仕事の繰り返し」に、メンタルの面で耐えられないというタイプの人がたくさんいるのです。
DTPオペレーターは「とても退屈な仕事の繰り返し」に強いメンタルを持っていると思います。そして、書籍ができあがるまでのテクニカルな部分の多くは、DTPオペレーターによって成されていると思われます。
書籍は最も最後まで残る紙媒体
紙媒体が主にWEBなど、他の媒体にとって変わられ、衰退の一途をたどっているかに思えます。
でも、紙媒体は意外と完全にゼロにはならない分野だと個人的には思っています。少なくなるでしょうが、細々とかなり永遠に続いていくのではないかと思っています。
その中でも書籍は最も最後までのこる媒体だと思います。そう思う理由は今日は省きますが、書籍が残っていく以上、DTPオペレーターは形は変わっても、残っていく職業のうちの一つだと思います。
「なくなる仕事」だから何?
よく「なくなる仕事…あなたの仕事は大丈夫?」というような脅し文句を見かけますが、わたしはこういうものに踊らされて、自分の職業への適性を見失い、簡単に手放してしまうのはやめたほうがいいと思っている口です。
以前、わたしは、何度もクビにもなりましたし、その中で、デザイナーをやめて、もっと旬な仕事をした方がいいのではないかと思い、介護の仕事にチャレンジしたことがありました。
でも、自分に向かな過ぎて踵を返すように、デザインやDTPの仕事に舞い戻ってきました。
人にはそれぞれ適正というものがあると思いますので、「なくなる仕事リスト」にアップされたからといって、大慌てで逃げ出すのは得策ではないと思っています。
でも、幸いにも、わたしの懸念はよそに、DTPオペレーターは、なくなる仕事のリストには載ってないようです。