グラフィックデザイナーは40代になったら地味目な仕事がねらい目だと思います。なぜならば、若いデザイナーがやりたがらないからです。
ライバルは若手
デザイナーは、イメージとして、若い方が勝ちなので、デザイナーは歳をとれば若手デザイナーがライバルとして強敵になってしまいます。ですから、同じ土俵で戦うと、年寄りは負けます。
だからこそ、もしデザイナーとして生き残りたければ、若手が活躍する土俵から去り、若手のいないフィールドに向かうと良いのです。
派手目な土地を去る
東京なら、青山、原宿、渋谷、代官山など、派手目な人気の場所にあるデザイン会社に向かうのはやめましょう。この界隈は、激戦区だと思います。
この界隈にあるデザイン会社は、ここにあるというだけで「良いデザインをする」というイメージがあります。実際、どこまで事実なのかわかりませんが、環境が人に与える影響というものを考えると、流行の感度の高い街に存在するということは、会社も人も、自然にセンスはアップしていくものです。
こういう街に存在していないと、まともなデザイン会社ではないという人さえいます。でも、それはちょっと言い過ぎなんじゃないかと、個人的には思っています。
こういう街でなくても、まともなデザインをすることは可能だと思います。
それでも、わたしもこういう街にあるデザイン会社にしがみついていました、以前は。40歳を過ぎて3度クビになりましたが、最初の2回はこのような街にあった会社でした。
わたしにとっては、このことも潮時だったのではないかと思っています。正直、雰囲気や何から何まで、くたびれてしまっていました。それで、カッコつけるのをやめたのです。すると、そこでやっと他の土地でもデザインはやっていかれるものだということに気づくことができました。
派手目な会社を去る
デザイナーが存在する企業といえば、デザイン会社以外にも色々あります。そういう中で、あまりデザイナーが行きたがらない会社があります。それは、印刷会社です。
私も以前は、「印刷会社には行くまい」なんて、頑張ってカッコつけていた時期がありました。でも、歳をとったら、とてもねらい目です。
グラフィックデザインて、多くは結局、印刷されます。だから下流だという悪いイメージがあるのかも知れませんが、実際、印刷会社のデザインって、結構おいしかったりします。
デザイン会社というと、小さな会社が多く、それぞれの得意分野だけをやっているケースが多いので、広告系だったら広告系の仕事だけ、エディトリアルならエディトリアルの仕事だけ、なんていうこともあります。
でも、印刷会社は、たいてい、大企業でなくてもそこそこ大きな会社で、「印刷のついでにデザインもやって欲しい」というクライアントは実は多くて…その方が安上がりだから当然です…広告系の仕事もエディトリアル系の仕事も両方やれるチャンスに恵まれます。
それでもクライアントが、デザインはデザイン会社に、印刷は印刷会社に分けて仕事を発注するのは、印刷会社のデザインが下手だと思い込んでいるからです。
でも、もしコンペなどで、印刷会社からもすごく良いデザインが出てきたら、まず間違いなく、勝てるのは、デザイン会社ではなく印刷会社の方です。…その方が安上がりな上、同じ会社にセットで頼めて窓口を一本化できるのだから当然です。
このように、印刷会社は、若手のいない新天地な上、色々なチャンスを作り出すこともできる、楽しいところだと言えます。
地味目な分野の仕事、高齢のターゲット
また、若い人がやりたがらない地味な感じの分野の仕事も得やすいと思います。教育関係とか経営とか税務とか。若い人はファッションはやりたがるけど、こういう地味なものを目指しません。
でも、こういう地味目な分野でも、書籍や雑誌もありますし、ポスターやチラシやパンフレットを発行することもあります。
また、ターゲット層が高齢な媒体のものも、同様に様々なものがデザインできるのです。
歳をとってもデザイナーとして生き残ろうと思ったら、少し考え方を切り替えて、今まで手を出したことのないフィールドに手を伸ばしてみたら、意外と簡単に道は開けてくるかもしれませんよ。