未経験でのグラフィックデザイナーへの転職は、何歳まで可能か? ということについてお話ししたいと思います。(絶対値よりも相対値)(仕事ができれば何歳だろうと無関係)
この記事を書こうと思ったのは、このサイトのアクセス解析で検索されることばをみていると、かなり年齢の高い人でも未経験からデザイナーになりたいと思っている人がいるのだということが見えてきたからです。
それで、特に「自分はもう遅いのではないか?」と思っているデザイナー志望の方のために、何かヒントになれば良いな、と思いまして、わたし自身の経験もまじえて記事を書こうと思いました。
「自分はもう遅いのではないか?」これは、本当に年齢が高い人だけではなく、まだ十分に若い人でも感じてしまうことなんでしょう。
●年齢的なネック
・給料の面が問題(一般に、高齢者には高い給料を払わなければならないと思われている。)
・年齢は、「何歳まで?」という絶対的な年齢ではなく、「上司よりも上か下か」という相対的な問題。
わたし自身の経験で恐縮ですが、わたしは未経験からグラフィックデザイナーに転職したのは34歳のときでした。
一般的にはとても遅い方だと思います。
でも、自分がそうだったので、34歳までは可能だと言えます。
ところが、わたしと同時に未経験で同じ会社に入社した同僚のデザイナーは、37歳でした。
だから、実際の経験から、37歳というのは可能だと思います。
それ以上高齢の未経験者には出会ったことがありません。
でも、ただ単にわたしが出会ってないというだけなので、無理だとは言い切れません。
個人的には、年齢よりも、「絶対にデザイナーになりたい」という強い願望や熱意や決心があることが一番重要だと思っています。
それで、仕事をスタートするのに十分なデザイン教育を受けることや転職用のポートフォリオを作るなど、実際に行動に移せば、何とかなると思います。
それでも若いに越したことはありません。
もっと若いうちからやっていれば良かったと思ったことは何度もあります。
また、特に40歳を過ぎてからの未経験者の場合は、「ディレクション」ということを念頭に入れてやっていくと、時間はかかっても可能性はあるのではないかと思います。
これは、未経験者に限らず、経験者でも、40歳をすぎるとディレクション能力が現場では求められるからです。
(ディレクションのことはあまりわたしは得意ではないので、このサイトでは言及できませんが、わたしのデザインの先生も、40歳すぎの人にはそのように指導していました。)
ちなみに、デザイナーになる前の仕事は、校正や編集の仕事で、わりとデザイナーに近しい職種でした。
このことは有利だったとは思っています。
全く紙媒体にかかわりのない職種からの転向でも、先にお話しした37歳の未経験だった人は、仕事をしながら武蔵美の通信講座をやっていて、終わらないうちに転職できたようです。
また、34歳という年齢をカバーしたと思われる、その他の要因を自己分析して列挙してみます。
1 20代前半の、新卒の人と同等かと思われるような安い給料で雇ってもらった。
2 直属の上司よりも若かった
3 作品が良かった(自分で言うのもなんですが…)
4 デザインの知識を身につけた(そしてそれを履歴書などでアピール)
5 社会人としてのマナーがあった(採用してくれた上司に「あいさつができる人」だったということを言われました)
これは、何も自慢するために書いているわけではなく、中途の未経験者が採用されない原因
1 年齢が高いと給料も高く払わなければならない
2 上司(社長)よりも年上だとつかいずらい
3 作品がつくれない(教えるのは大変)
4 デザインの知識がない(教えるのは大変)
5 挨拶ができない無愛想(これはむしろ若い人の方が多い?)
このような、「採用されない要因」の裏をかき、それをすべてつぶしてしまうことができたから、自分は採用されたのだと言いたかったのです。
このことは、未経験からデザイナーになりたい方へのヒントになるのではないかと思います。
また、特に「年齢」がネックになるのは「給料の高さ」と、「上司よりも年上」というケースが殆どです。
わたしは、たまたま直属の上司よりは若かったです。
年齢層が高い会社だったのです。
それから、「まだ一人前ではない」という気持ちから、自分で新卒の初任給相当の給料を希望しました。
「そんなに安くていいのか?」と言われてちょっと後悔しました。
この給料への不満は、最初はよくても次第につのっていき、一年後には転職する原因の一つにもなりました。
デザインの先生にも「ちゃんと一人前にできるようになったのだから、給料は一人前を主張した方がいい」と、しかられてしまいました。
でも、わたしが34歳という年齢にふさわしい給料にこだわり続けていたら、転職の成功はもっとあとになってしまったかも知れないと思います。
今思えば、最初の会社は給料をもらいながら行ける「学校」だったのです。
いくらスクールや先生から、「実務経験相当」の知識や技術を伝授されても、「本当の実務経験」には替えられません。
わたしは、最初の会社で「一年間の実務経験」を手にし、この経験をもとに、次の転職で年齢相当かと思われる給料に戻すことができました。
また、「上司よりも年齢が高い」というネックについてですが、自分よりも年下の部下を平気でつかっている社長はいくらでもいます。
一方、異常に年齢にこだわる社長もたくさんいます。
これは、転職活動で、数多くの会社に出会って初めて見えてきたことではありますが、「自分よりも年上の上司」か「部下が年上でも全然気にしない上司や社長」に出会えれば問題はクリアされるのではないかと思います。
また、上司が年下だとしても、自分の方が立場は下なのだということをわきまえて、相手に敬意を払い、言葉遣いなども注意するなど、正しい心構えが持てるかどうかは、会社よりも自分自身の問題かも知れません。そして、相手が年齢を気にしないでくれるのなら、自分も年齢のことは忘れるのがマナーかと思います。
●年齢的なことのまとめ
・給料の面をクリアする(給料を安くするか、金額相応の仕事を提供する)
・年齢は、「何歳まで?」という絶対的な年齢ではなく、「上司よりも上か下か」という相対的な問題。(年上の上司に出会うか、年齢のことは気にしない上司に出会う(思っている以上にこういう人は多いです))
年齢よりも、結局は「仕事ができるかどうか」だけです。
それでは、未経験でも「ぜひグラフィックデザイナーに」と思っている方は、希望を捨てずに頑張ってみてください。