グラフィックデザインでは、「コントラスト」を使って、「見せたいもの見せる」ということが必要です。
コントラストというのは、「視覚的な差」です。
●色のコントラスト
コントラストがないと、そもそも何も見えて来ません。
本の多くは、白い紙に黒い文字で印刷されています。
これは「白」と「黒」という色のコントラストがあるから「見えている」のです。
だから、何かを「見せよう」と思ったら、
「見えるだけの十分なコントラストをつける」ということをしていかないと見えてこないのです。
グレーの背景に同じグレーの文字では、何も見えませんよね?
色には、色相、彩度、明度という尺度があります。
色相のコントラストで最も差があるのは
補色同士です。
緑に対して赤
紫に対して黄色
などです。
彩度のコントラストで最も差があるのは
白〜グレー〜黒 に対して 原色です。
文章の中で一部分だけ赤い文字にするのは、彩度のコントラストを利用しています。
明度のコントラストで最も差があるのは、
白と黒です。
「人間の目には、明度の差が最も差がついて見える」
ということを覚えておいてください。
例えば、赤と緑は、色相の上ではコントラストが強いですが、
明度の面では殆ど同じ明るさです。
赤と緑に塗ったものをモノクロコピーすると、殆ど差がわからなくなります。
だから、何かを際立たせて、「見せたい」と思うなら、
ある程度「明度の差」が必要になってきます。
●形のコントラスト
レイアウトで、「何かを見せたい」と思うなら、
形のコントラストもとても重要です。
特に「大小」は最もわかりやすい=訴えかけるコントラストです。
写真を数点レイアウトするとします。
あまり何も考えなければ、全部同じ大きさに並べてしまいがちです。
その中でメインのビジュアルになるものを、一つ選んで大きくしてみましょう。
大きくした写真はグッと目を引くはずです。
文字も「キャッチコピー」や「タイトル」は、普通、他の文字よりも大きくなっています。
●「見せたいものは一つ」というのが一番強いメッセージになる
一つの作品の中でコントラストは一つだけではありません。
「小見出し」は本文よりも少し大きくなっていますが、タイトルよりは小さく、本文に近いサイズにすることで、本文のグループに属しているのだということがわかります。
「小見出し」と「本文」の間には小さなコントラストがあり、
「小見出し」と「本文」のグループと「タイトル」の間には、大きなコントラストがあります。
「どれだけコントラストをつけるか」によって、
1番見せたいもの
2番目にみせたいもの、
3番目にみせたいもの、
等、「何をどのくらいの強さで見せるか」ということを、こと細かくコントロールすることができます。
あらゆる要素に必要な大きさのコントラストを設定しましょう。
コントラストは強弱と言ってもいいと思います。
そして、一つの作品の中で、「最も見せたい読ませたいものは一つ」にすると、強いメッセージになります。
「最も見せたい読ませたいもの」と、他の要素とのコントラストは最も大きく設定しましょう。
そうすることで、見てくれる人に、デザインではっきりと何かを伝えることができるのではないかと思います。