グラフィックデザインの現場では
「 3案出して 」と、何かを提案するときにはしょっちゅう言われます。
だから、3案出すのにあまり困らないようなアイデアの出し方をお伝えしたいと思います。
例えば、書籍の表紙、「3案出して」と言われることが多い物件(?)です。
「なぜ3案なの?」という疑問があるかと思いますが、これは今回はさておき、
3案を出すためのアプローチを、いくつか紹介します。
お客さまの方で、ある程度「こうして欲しい」というアイデアのラフスケッチなどをくれる場合もあります。
それはその通り、ひねらず、素直に、でも、造形的な完成度は高く、作るようにしましょう。
「もう一案はおまかせ」「あと2案はおまかせ」ということも多いです。
3案出すためのアプローチを知っていると、意外と楽に仕事ができます。
●写真、イラスト、平面構成
3案は、同じようなものに見えてはいけないのです。
3つとも「違い」を出さなければなりません。
そういうときに、ビジュアルの面で、簡単に「違い」を演出できるのが、
・写真を使った案
・イラストを使った案
・平面構成を使った案
この3つです。
困ったら、これを思い出してください。
●タイトルの書体を変える
タイトル文字は、3案とも別々の書体にすると、
違って見えてきます。
・明朝体
・ゴシック体
・何か少し変わった書体など
日本語の活字として読みやすい主な書体は
明朝とゴシックです。
明朝とゴシックの2つを使ってしまったら、もう一つはどうするかというところです。
少し変わった書体というと、例えば、「フォーク」のような、明朝とゴシックの間の子のような書体とか、
「じゅん」のような丸ゴシックなどです。
また、フォントにはウェイトがあります。
とても太いゴシックと、とても細いゴシックで、違いを演出することもできます。
●構図を変える
1つの同じ写真で3案を出してという場合はどうしますか?
大胆に、構図を変えてみましょう。
・背景として全面に写真を敷いて、文字を前面に重ねる
・小さくセンターにおく
・下半分に入れたり、ページの右側からぼかして入れたり…
3つとも、全く違う構図にすると「違い」を演出できます。
●色相やトーンを変える
色は何かを伝えるメッセージがあるので、
本のテーマと合っていなければなりませんが、
・赤系
・緑系
・きいろ系
にするなど、主役となる色相を変化させると、「違い」を演出できます。
・ビビッド
・ダーク
・グレイッシュ
など、トーンを変えることでも「違い」を演出できます。
3案の違いを演出する方法は、たくさんあります。
いろいろ試して、自分なりのアイデア出しのバリエーションを、
アタマの中にストックしていくとよいと思います。