雑誌のレイアウト模写 に関するはなしです。
雑誌のリデザインをする前に、
レイアウト模写をしてみましょう。
初心者の方がデザインをしようとする場合、
何から手をつけたらいいのか
わからないことがあると思います。
そういう場合、
レイアウト模写は特にオススメです。
とにかくマネて、
レイアウトとはどんなものか、
体験するのには最適です。
Macにスキャナーが接続されていて、
DTPソフトがインストールされている環境を想定していますが、
スキャンしたデータが入手できればよいので、
コンビニでスキャンしたものを使うこともできます。
(参考>>>セブン・イレブンのサイト)USBメモリーやスマホを持参。1枚30円でスキャンできます。A3サイズまでスキャンできるそうなので、大きめの雑誌には嬉しいですね。)
DTPソフトは、アドビ イラストレーターでもできなくはないですが、
InDesign(インデザイン)やQuarkXpress(クオーク)のような、
ページものを作るためのDTPレイアウトソフトを使うことにします。
雑誌のレイアウト模写 のやり方
1 雑誌を分解する。
きれいにスキャニングするために
ページをバラして、
フラットな状態にするための分解です。
お気に入りの雑誌で、
分解するのがもったいなければ
2冊買うといいと思います。
中とじのものは、センターのホチキスを外せば
簡単に分解できます。
背があってノリで固められているタイプのものは、
奥までよく広げて自然にポロッと
ページが外れるところまで広げます。
これは、マージンや版面を、
より正確に割り出すためにも有益です。
慣れてくれば、
ページをバラさなくても計れますが、
全く始めてなら、
ページをバラすと良いと思います。
2 雑誌をスキャニングする。
スキャナーがなければ、
コンビニでもスキャンできます。
雑誌がスキャナーよりも大きければ、
上下半分ずつスキャニングして、
あとでフォトショップで1枚に合成します。
きれいにスキャンするコツについては
>>>コチラ
3 画像原稿を準備する。
レイアウトできるように、
写真を一つ一つフォトショップで選択して
コピペしながら別々の写真にしていきます。
写真に文字が載っていたりする場合は、
できるだけ元の写真のようになるように、
スタンプツールなどでレタッチして、
キレイにしてしまいます。
これで、写真を原稿としてもらった状態のようになります。
4 図版原稿を用意する
ロゴやグラフなど、必要な図版があれば、
イラストレータでトレースして作り起こします。
5 テキスト原稿を用意する
タイトル、リード分、小見出し、などは入力し、
本文やキャプションはダミーでもかまいません。
ただ、ダミーは□□□□□□□□や○○○○○○○○○ではなく、
文字を使ったものにしてください。
「ここに本文が入ります。」のような文章や、
本文の1段落だけ入力してあとはコピペにしてもいいと思います。
それほど手間でなければ全部入力してもいいです。
フォントによって印象が変わってくるので、
○や□ではなく、ダミー文章がいいです。
文字数はきちんとカウントしておいてください。
6 スキャンした雑誌をインデザインに原寸で配置する。
スキャンした雑誌を下絵にして
トレースするようにしていくと
楽にレイアウト模写することができます。
7 配置した元の雑誌をトレースするかのように、きっちりデータ化する。
まずはそっくりそのままデータ化するというのが
レイアウト模写です。
これはデザイナーとしての就職活動の作品には
できませんが、
1〜5まではリデザインにも必要なプロセスなので、
リデザインにとりかかりやすくなりますし、
DTPソフトの練習にも役立つと思います。
デザイナーとしての作品にはできませんが、
DTPオペレーターとして初めて就職したいというときには、
オペレーターの作品としては通用すると思います。
文字に関するベーシックな注意点
初心者の方が、独学でやろうとするときに、
なかなか完成度が上がらない部分は、
文字の扱い方だと個人的には思います。
そのため、文字に関して詳しく書いておきます。
興味がわいたら読んでみてください。
初心のころは、あまり興味が向かないかも知れませんが…。
まずは「本文の文字サイズが何級(Q)か?、
行間や行送りが何級(何歯)?、
書体(フォント)は?」というところを
よく観察して割り出しましょう。
本文の仕様は雑誌の場合は特にベースとなる肝心なところです。
●Q数について(サイズ)
雑誌の文字のサイズを比較してみると…
キャプション<本文<小みだし
本文<リード文<タイトル
コラムの本文<本文
すべてが本文を中心に相対的に変化していきます。
本文が10Qなら、キャプションはもっと小さいです。
本文が14Qなら、キャプションが10Qかも知れません。
また、本文のサイズ(Q数)や行間や書体は、
雑誌全体にわたって変化しないところです。
別の特集でも、同様だったりします。
何年も同じ仕様だったりします。
だから、リデザインするときも、
同じ雑誌の連載のリニューアルというような設定なら、
本文に関してはレイアウト模写したままにしておくべきです。
(段組みは、3段、4段、5段などと変化させてもいいところです。)
●書体について(フォント)
書体に関しては、理想としては、
「これはモリサワの中ゴシックBBBだ」
というところまでわかった方がいいです。
可能ならば「モリサワパスポート」などを
契約して使ってみると良いと思いますが、
1年間に5万円もかかります。
ちょっとこれだけのためにはもったいないかも知れません。
それに、最近はとても色々な書体が出回っていて、
モリサワかフォントワークスかもわからないと思います。
(モリサワやフォントワークスのサイトで
書体をよくみて判別してみるといいと思います)
>>>モリサワ書体見本
>>>フォントワークスコレクション
本文の書体は「明朝か」「ゴシックか」ということと、
「細いか」「太いか」というところが最も肝心なところです。
だから、代替え案として、Adobe製品に付属している
「小塚ファミリー」で代用してもいいと思います。
明朝系の書体だったら、「小塚明朝」
ゴシック系の書体だったら、「小塚ゴシック」
を使うことにします。
●太さについて(ウェイト)
本文の書体の太さについては、
それほど太いものは使われていないはずです。
本文のような書体は太すぎると読みにくくなるからです。
小塚ゴシック、小塚明朝などには、
EL
L
R
M
B
H
という文字が書かれていますが、
これは、文字の太さ(ウェイト)を表現しています。
上の方が細いです。
EL Extra Light
L Light
R Regular
M Medium
B Bold
H Heavy
という意味です。
こういうものをまとめて「ファミリー」と呼びます。
本文にふさわしいのは、LかRだと思います。
ELでも良いかも知れませんが、
ちょっと細すぎるかも知れません。
個人的には
モリサワのリュウミンLの代用品として、小塚明朝のLかEL
モリサワのリュウミンRの代用品として、小塚明朝R
モリサワの中ゴシックBBBの代用品として、小塚ゴシックのL
モリサワの太ゴB101の代用品として、小塚ゴシックのR
を、使うだろうと思います。
(実際に配置してみないとわかりませんが…)
また、雑誌によっては、
そもそも小塚ファミリーを本文に使用していることもありますので、
その場合は、小塚ファミリーを使いましょう。
●Std Pro Pr6Nって何?
ちなみに、小塚明朝と小塚ゴシックには、
Std
Pro
Pr6N
という文字もくっついています。
これは、字形(グリフ)の数が違っているということなので、
レイアウト模写の段階では、文章はダミーでかまわないので、
どれを使ってもさしさわりないと思いますが、
混在はしないほうが無難です。
字形(グリフ)というのは、文字そのものの種類で、
字形(グリフ)が多い書体には、
旧字体の漢字が多く含まれていたり、
●数字(まるすうじ)が多かったりします。
小塚明朝の場合、
Std スタンダード 9,354字形(グリフ)
Pro プロ 15,444字形(グリフ)
Pr6N (呼び方は不明。「プロろくえぬ」などと、普段は適当に呼んでいます) 23,058字形(グリフ)